尊敬する義父
私の義父は、91歳のフランス人です。
実家の父が75才なので、一回り以上の世代となります。
初めて義父に会った時、「テュトワイエ(tutoyer)で話そう」と言ってくれました。← フランス語がきちんと話せない私への憐れみ
日本語で言うなれば、堅っ苦しい敬語ではなく、ざっくばらんな話し方でいいよとのこと。
戦前教育を受けた年代の方にしては、非常に珍しいと思います。
ちなみに、おっかない94才の義理の伯母とは、今でも敬語のヴヴォワイエ(vouvoyer)で通しています。← 疑問の余地なく当然の如く。
そして、私は、何故か自然と義理の父の事を愛称みたいにパパと呼んでいます。
義理の兄嫁は、義父のことを「イブ」と名前で呼ぶので、本来「パパ」とは呼びません。← おかしなフランス語を話す外国人の特権
義父は、とても物静かでエレガントな人です。← 義父のたたずまいを見て、彼を選んだと言っても嘘ではありません。
義理の伯母は、そんな弟(義父)の事を 「あの人、昔からちょっとトロイとこがあるのよね〜」← さらりと失礼な事を言う伯母 (笑)
義父のお家は、コンマリさんが不要な程、クローゼットや引き出しの中がきちんと整理整頓されています。
いつもクラッシックラジオが流れ、
趣味は、歴史とクロスワードパズル
このクロスワードがあなどれず、語彙力が半端ないのです。
こちらで、一度だけ着物を身につけた時、「それは、帯って言うのでしょ?」と言って、日本語の帯と言う単語を知っていました。← 恐るべしクロスワード
そして、今でもテール デ エルメス( Terre d’Hermès) の香水を愛用してます。← 流石、香水文化のフランス
義父の習慣は、朝、昼、夕のお食事、4時のおやつの時間以外は、食しません。← 私みたいにいつでもどこでもといった間食は、一切しないのです。
上質の物を勿論知ってはいるものの、だからと言って贅沢することはなく、身の丈に合った生活をしています。
出掛ける日でなくとも、必ず11時には出掛けられるような身支度をします。部屋着ではないです。
ソファで寝転がって寛ぐことを見たことありません。← 私と彼は、余裕でゴロゴロ寝転がります。
寝る時は、ベットという概念なのでしょう。
ちなみに、94歳で1人暮らしの伯母のお家には、ソファーすらありません。もはや習慣? 背もたれのある椅子に座って寛いでいます。
今、義父は、車椅子の生活を余儀なくされ施設に入っていますが、不平不満を漏らす事なく、現実を受け入れています。
施設の自室には、愛用していた家具や絵画を飾り、自分の住まいと変わらないようにしています。
義理の父 「今度、居間に飾ってあるニコル(亡くなった妻)の写真を持って来て欲しい」
この言葉を聞いた時、
ohhhh, kawaiii‼︎ 素敵ぃー⁉︎
と思ったものです。
苦労が全くなかった人生でもないのですが、いつも強く気高く生きています。
そんな義父を尊敬せざる得ないのです。
新しいお家で好きな場所がキッチン。
壁の色を変えたかったのですが、今回は見送り。おいおいやっていきます。
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